”七夕”

朝日がまぶしかった 舵木弦三は カサゴと一緒に漁網に掛かって必死にもがく夢から醒めた 夏の陽射しは塩気たっぷりな朝靄のサウナよろしくで 酒臭い汗がべったりと流れ出ていた 舵木弦三は 腹に紐が一本むすんであるだけで全裸である ふらふらと立ち上がると フンドシがひらひらと風になびいた 操舵室の入り口の脇に竹の釣竿入れがある 釣り針の先には虹子の網タイツが引っかかっていた それは脱皮したばかりのくにゃくにゃの伊勢海老の抜け殻のようであった

20/06/20 13:23:59
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