”蚊取り線香”

虹子は船宿へ駆け込んだ ここに虹子は下宿していた 船宿は宴会や密会などで料理と酒を出すところである 宿泊は厳禁である 江戸時代からの旅籠組合との約束事だった お客の部屋は二階で 十畳一間で部屋数は八部屋 一階は調理場である 虹子の部屋は離れの茶室であった 縁側のついた6畳ほどの数寄屋造りの部屋に入ると 蚊取り線香を焚いた 夕暮れ時 母屋の二階の客室の障子に写る 男と女の影が 蚊取り線香のけぶりと揺れていた

20/08/11 17:18:19
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