”伸し泳ぎ”

レインボー丸の船長は船頭の棹を拾うと湯船の障子を破り開いた 中には紅の糠袋を金玉に被せたハンマーヘッドシャークマンが女の背中を流していた 火事だ!早く川に飛び込め!レインボー丸の船長は怒鳴ったが女は何処吹く風であった 仕方がねえ!えいっと!棹を女の丸髷に突き入れると鰹の一本釣りよろしく釣り上げた キャアーと悲鳴を上げるが先にザブーン と川に落ちた女は あたい金槌なんだよ!と叫ぶのであった レインボー丸の船長は牡丹鍋屋の二階座敷から覗く鮫のような紳士に 畳を投げろっぺ!と棹で雨戸の戸袋を叩くのだった 両国橋の上にはその様子を見たナマハゲがオーマイガブリエル!と呟くのであった

表1