”神風タクシー”

竹野タクシーと筆太に書かれた日野ルノーは靖国通りを錦糸町方面へと走り出した 両国と錦糸町の真ん中あたり鰻の蒲焼き屋の前の赤信号で止まると錦糸町駅前辺りにMPのジープが止まっているのが見えた懐中電灯がグルグル回っていた検問であった チェッやべえぞ!清は洩らした ちょっとそこで止めるっぺとレインボー丸の船長が言うとタクシーは路肩に止まった バナナの叩き売りの露店商が無人の通りで向上を歌っていた レインボー丸の船長はバナナを買ってくると長旅の非常食だっぺと高級品の果物を見せた バナナですか懐かしいなあ と南方フィリピンの銀輪部隊の兵隊時代を思い出す運転手の清はハンドルをきるとタクシーは走り出すのだった

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