”いつでも夢を”

御多分に漏れず両手一杯の焼き物皿を持ってタクシーに乗り込んで愛の巣へと帰る二人をスカイブルーのビュイックのセダンが後を追った 戦後の道路交通事情は国産車より外国車の方が断然に幅を利かせていたので宇宙船よろしくの車が特に目立つようなことはなかったが庶民が自家用にできる乗り物ではなかった タクシーの両サイドのフロントドアには筆太に竹野タクシーと書かれていたのだった

む