鮫のような紳士を まったく思いだせないでいる舵木弦三だった しゃあないですわ あんさん網タイツに釘付けでおまんしたから 虹子ちゅうホステス ほんまイヤラシイ体つきしてるさかい わても ずいぶん投資してまんねんけど 御預け食らわされているポチでんがな すると 立て板に水のごとく喋舌りまくる声が止まった 浜辺でスイカ割りする若者の騒ぎ声が聞こえる 鮫のような紳士とのあいだに 不穏な沈黙の堰を切る大声で あんさんも罪に於けませんな これ! これ虹子の網タイツやおまへんか! と釣竿に掛かった網タイツに鼻を突っ込み匂いを確かめる 鮫島貿易の社長であった