”酔鯨”
むしゃむしゃ イノシシ肉は精がつきますがな!東京の濃い味付けに酒が合いまんな!と向かいに座る銀座の高級クラブ”ドンブラコ”のママさんの正座する太股を前にして上機嫌な鮫のような紳士であった香ばしいにおいがたまらんでんな! 並木桃子は表からお座敷に煙が入ってくるのを見て花火の煙かしらと言うと窓の外には煙が立ち上っていた 煙の正体は隅田川に浮かぶ舟からであった あんなに薪焼べたら湯船が燃えちまうっぺとレインボー丸の船長が言うと ひゅーっと風が吹いた瞬間に火の粉が散ると舟に火がついた 火事だあ!船頭が叫ぶのであった