”黒鮑”

スタコラサッサホイサッサ清は牡丹会いたさ親は死んでも食休みもなく気仙沼港へ向かった 鮑祭りと筆太にいかめしく幟がはためいて螺貝が鳴り響く陣中よろしくの人混みへと分入った ひとだかりが1段と多い出店の前で清の足は止まった 見たこともないような笑顔で接客している牡丹がいた その横には色の浅黒い筋骨隆々の男が鮑の殻から剥き身を剥ぎ取っていた 漁師町の雛壇のような二人はどこから見ても退っ引きならない関係とわかる雰囲気であった

220307_072818
220307_072818