”時計仕掛けのオレンジ”

清は10月の給料日に北国の竜宮城へと行った 御茶屋の遣り手ババアは小店を勧めたが清は大籬の竜宮城の花魁を注文した 揚代は2万円であった大卒の初任給が5千円の時代である 顔見せの初会 牡丹でありんすと現れたのは飴玉をくれた女郎だった この時代もはや夢の別世界の郭の仕来りも影を潜め初会から裸相撲を取れた 清は牡丹のムッチリとした肉体に溺れた 自分の金ではどうにもならない揚代を借金しタクシーの上がりをごまかし博打で大穴をねらいスッカラカンになっても伯父の竹野タクシーの金庫から泥棒するまでに北国へと走るのだった

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