”ポケットの中にはビスケットがひとつ”
タクシー運転手の清の制帽の中は100ドル札で一杯になった もちろん制服のスボンのポケットも一杯だったし半袖ワイシャツの胸ポケットにもタバコ箱の裏に詰めるだけ100ドル札が押し込まれていたのだった 清の妄想の泉は湧いた まずこのまま吉原へ行って体を清めてから浅草のキャバレーで一人宴会して店仕舞いあとに寿司屋でホステスと二次会だぞムッチリとした太ももをすり寄せてくる女が言う 今夜は帰さないからと おお!待ってました色男!その言葉が力水!そこはダメだよ嗚呼 コンコン 乗せてくれ うるせえな!今いいとこなんだからさあ営業終了だよってんだ ガチャ 清が運転席から振り向くと男が二人乗り込んで来た 清は反射的にお客に聞いたどちらへ向かいましょう? レインボー丸の船長は気仙沼港まで乗っけて行ってくれっぺと言うのであった