”坂道”

ついでに海田造船の御曹司を釣り損ねて手土産がおじゃんになったのは 鮫島貿易の社長…

”パシフィック”

舵木弦三の左頬の傷跡を見ながら 虹子は不思議に思った 命懸けの仕事をまるで普通の…

”モーニングコーヒー”

コーヒーの香りはホテルのラウンジへ朝の静寂を守っていた レインボー丸の船長の浅黒…

”モーニングサービス”

晩夏の朝の太陽の光を空気は水っぽく包んで 真夏のギラギラ太陽の威勢はなかった 虹…

”狐に摘まれる”

面倒の掛かる坊ちゃんやわあ そこの藪で用足しなはれお稲荷さんへ飛ばさんよう気いつ…

”柳ごし”

御馳走さん おいしかったわあ なんぼ 高いなあ 二人ぶん? ほな行きまひょか 鮫…

”共食い”

ネクタイで繋がれた二人の野郎は豊川稲荷の前の支那そばの屋台の前で立ち止まった わ…

”カオス”

鮫島貿易の社長は自分のネクタイをキツネ目女装男の首に巻き付けしっかりネクタイの細…

”やさしい”

仕事とはなんであろうか 金を得る手段のことか 上野の美術館で観たセザンヌの絵を思…

”夜明け前”

ザーンザーン 海は一面の金色カジキで埋め尽くされていた 銛を手にした舵木弦三をめ…

”ダブルベッド”

レインボー丸の船長と人魚は凪の大海原に浮かぶ小舟に揺られていた 海と空の境界線は…

”フォーリンラブ”

ほなら行きまひょか 海軍少将に棄てられた泣きじゃくるキツネ目の女装男の顔は化粧が…