”極東進駐軍放送”

神保町には洋食屋が多くあった キッチンクルミはそのなかでも店構えが洒落ていて煉瓦造りの外壁にガラス戸が大きく作られていた 客層もサラリーマンや学生より重役クラスやアベックなどゆっくりと食事をする雰囲気のある店であった 営業時間は午前11時半から午前3時半までと夜の営業に人気があり曜日をまたぐころからは銀座や赤坂のホステスらと高級仕立ての背広客の同伴がほとんどであった 昼のホールは経営者のママさんとウエイトレスの二人であったが夜のホールはマネージャーの黒田という男色のオトコオンナで自分より立場の低い人間には意地悪なオカマ野郎が切り盛りしていた コックの赤城へ ヨオ!と声をかけた清のテーブルへお冷やをポンと置くと ご注文は?と見下げるような視線で言うのだった

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