”ブラックラグーン”

カランコロン キッチンクルミの入り口のカウベルが鳴るとカツカツと女性のヒールの音がチークの床板を闊歩して7歩目で止まったところは先生のテーブル席だった ホール係の黒田は小走りで椅子を引くと いらっしゃいませ!とオレンジの玉虫色のワンピースの綺麗な女性を歓迎した 後を追いかかけるようにカウベルの音と共に女性のヒールの音が続くと6歩目で先生のテーブルで止まった あらもう召し上がってるの?と綺麗な女性が先生に皮肉げに言うと わたしはブランデーいただくわ あなたも好きなもの注文しなさいと後からついて来た大柄な女にいった 左様この二人組は女優の桜ヶ丘富士子とマネージャー兼警護係の福良萩子だった それじゃあたしはビーフカツレツをくださいとホール係の黒田に注文するのだった 清はテーブルの上の先生から受け取ったナプキンの絵をながめながらアスパラサラダをモグモグするのだった

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